ダイヤモンドダストに太陽の光が反射してキラキラと輝く幻想的なサンピラー(太陽柱)は名寄の冬の風物詩 |
(写真提供・協力:NPO法人なよろ観光まちづくり協会) |
北国ならではの博物館と郷土が生んだ名大関を偲ぶ
冬季には氷点下20℃以下にまで冷え込み、幻想的なサンピラー現象が見られる極寒の名寄にやって来た。例年以上に積雪が多い冬の名寄を(社福)名寄みどりの郷地域生活支援センターの藤井さつきさんと名寄丘の上学園の蓑島伶奈さんの案内で旅をする。
名寄丘の上学園に近い名寄駅東側に位置する名寄公園から名寄の旅をスタート。しだれ桜やハルニレ、ミズナラの原生林に囲まれて美しい公園もいまは雪におおわれている。春は桜の名所であり、池にはボートが浮かび、テニスコートや野球場もある公園は市民の憩いの場だ。
公園の南側に隣接して北国博物館が建っている。市民を中心に寄贈された10万点におよぶ暖房具、防寒具、スキーなどの冬の生活用具を展示。北国の暮らし、気候風土をテーマにした博物館。北国の自然と文化に親しむ北海道ならではの体験学習施設だ。エントランスホールにはサンピラーのイメージモニュメントと国内でも珍しい地球の自転を証明する「フーコーの振り子」が設置されている。さらに、名寄が生んだ昭和初期の名大関「名寄岩」に関する展示も充実している。当時は知名度の低かった名寄の地名を全国に広めた功績を称えて、名寄市民スポーツセンター前に、昭和56年に銅像が建立された。
博物館の目の前には、昭和50年に全国から姿を消したSL排雪列車「キマロキ」が展示されている。全国で名寄だけにしかない機関車だが、冬は雪囲いのためのブルーシートが掛けられていて、その姿を見られないのが残念だ。
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田園風景を彩る農村壁画と伝統の地元グルメを堪能
名寄駅の北側に緑色の瀟洒な教会が建っている。明治42年に建てられた市内最古の洋風建築、名寄教会だ。日曜日にはミサも行われる現役の教会で、美しい外観を観賞する。大正12年に教会が設立した名寄最古の名寄幼稚園も併設されている。藤井さんと蓑島さんはこの幼稚園の卒園生なのだとか。
名寄の風連地区に農村壁画がある。農村景観の向上を目指して農業施設の壁面にヨーロッパの名画を描いたもの。ピカソの「ゲルニカ」やミレーの「晩鐘」「落ち穂拾い」など、風連地区に4ヵ所、名寄市北部の智恵文地区に1ヵ所、計8作品が制作された。絵画は市内の小中学生から一般市民など住民の手で描かれたもの。観光スポットとして壁画を見学に訪れる人も多いとか。
JR風連駅に近い国道40号線沿いに道の駅「もち米の里なよろ」がある。名寄はもち米の生産が日本一。水田の約9割がもち米で、生産量は全国の約10分の1を占めるのだとか。もち米を使った特産品も多く、ソフト大福は道の駅の看板商品。お土産品としても一番人気なのだとか。館内には名寄のイベント情報や交通情報をリアルタイムで発信する地域FM「Airてっし」のサテライトブースもあり、平成24年の「行ってよかった道の駅ベスト10」の第1位に選ばれている。
昼食は道の駅のレストラン「風の寄り道」で、煮込みジンギスカンをいただく。名寄の家庭料理として独自の発展をしてきたご当地料理だ。タレに漬けた羊肉をタレごと煮込むのが特徴で、「十割そば」と「もち」を織りまぜた道の駅の「煮込みジンギスカン」は、もち米の里ならではの素材を活かしていておいしい。
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極上の雪が楽しめるスキー場 星と音楽の融合が楽しい天文台
名寄市街の北東、ピヤシリ山西麓の九度山の南斜面に名寄ピヤシリスキー場がある。名寄は雪質日本一を自負する町。パウダースノーを超えるシルキースノーのゲレンデで自慢の雪質を存分に味わえるスキー場だ。スキー場の麓には日帰り入浴や宿泊もできるなよろ温泉サンピラーがあり、すぐそばに冬季ジャンプ大会の国内開幕戦が行われることで知られるジャンプ台ピヤシリシャンツェがある。
JR日進駅の東側の山の上になよろ市立天文台「きたすばる」がある。国内最大級の1.5m反射望遠鏡(愛称ピリカ望遠鏡)を備えていて、金曜日から日曜日の午後4時から8時まで一般公開されている。50cm反射望遠鏡もあり、昼間でも明るい1等星が観測できる。また、プラネタリウムも併設されていて、天文台長が自ら解説してくれた。この天文台の一番の特色は「星と音楽」のコラボレーション。様々なジャンルの音楽ライブを前提とした最新の音響システムを備えていて、他の天文台では類を見ない驚きと感動を味わえる。
天文台のふもとには、様々なスポーツ施設を備えたなよろ健康の森とそれぞれに特徴のある3つのエリアと11のゾーンからなる道立サンピラーパークの広大な公園が広がっている。園内のサンピラー交流館は、夏はユニークな遊具・軽スポーツ施設、冬はカーリングホールとなる。同行の蓑島さんは、カーリング全国3位の経験の持ち主。ジュニア時代このホールで練習したのだという。
名寄駅前の商店街に名寄みどりの郷が運営する手作りパンの店「ハートフル・みらい」がある。食パン以外の菓子パン、調理パンはすべて100円均一という安さ。さらに夕方からは半額になるとあって、学生や地元のファンも多い。名寄産大豆を100%使用した手作り豆腐もあるので、名寄を訪れたらぜひ立ち寄ってみてほしい。食品の安全性もおいしさも保証付きだ。
名寄のひまわり畑や広大な公園を楽しむなら夏のほうが良かったかもしれない。だが、名寄丘の上学園の横田一真施設長が天文台や観光協会などに声をかけてくれていたおかげで、どこでも取材を歓迎していただき、実に楽しい冬の旅ができた。
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なよろの旅マップ
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![]() 社会福祉法人 名寄市字緑丘9 障がい者支援施設名寄丘の上学園/生活介護事業所名寄丘の上学園 |
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名寄市街を見下ろすJR名寄駅の東側の小高い丘の上に名寄丘の上学園があります。法人設立は平成3年。「入所の利用者さんは比較的若く40代の方が中心ですが、高齢化対応も考えていかなければならない時期に来ています。看護師の人数を増やしたり、高齢者施設の経験者を職員として受け入れたり、少しずつ始めているところです」と横田一真施設長は言います。 法人では地域交流に力を入れており、施設の敷地内で開催していたお祭り『丘の上フェスティバル』も市内中心部に会場を移しました。町の祭りが年々規模を縮小していく中、入場者1000名を超える町の恒例イベントのひとつとして認知されるようになりました。また、駅前通りのシャッター街をこじ開けようと、日中活動の場も積極的に駅前に進出。さをり織りを中心としたギャラリー楽描き(らくがき)、パン工房ハートフル・みらい、陶房釉楽器(ゆらぎ)、まちなか交流スペースなどを次々にオープン。釉楽器2階に開設したレスパイト(障がい児一時預かり)センターは、現在の放課後等デイサービス遊楽につながっています。ギャラリー楽描きでは、名寄産業高校家庭クラブの女子高生が訪れ、さをり織りを体験。「さをりでつむぐ地域の絆」をテーマに研究発表を行い、4年ぶりの全国大会出場を果たしました。 社会福祉法人として「公共性と公益性」を念頭に置き、法人理念である「地域福祉の向上に寄与」するため、地域づくりを実践しています。 |
名寄市のおもな社会福祉施設 | |||||||||||||
社会福祉法人 名寄市社会福祉事業団 名寄市東8条南8丁目117 「市が設置した法人ということで、安心して利用できるという利用者様の声もいただいています。それを裏切らないケアをしなければならないという思いがあります」とおっしゃるのは馬場義人事務局長。比較的介護度の高い方が多く、食事、排泄、入浴といった基本的なケアに加え、認知症ケア、褥瘡予防、口腔ケア、誤嚥予防などにも細心の注意を払っています。濃厚な医療を望まず、施設での看取りを希望される利用者も増えており、利用者や家族の意向を最大限に尊重した支援ができるよう終末期ケアに取り組んでいます。 |
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社会福祉法人 名寄市社会福祉協議会 名寄市西1条南12丁目 名寄市総合福祉センター内 平成18年法人設立。地域を基盤とした福祉のまちづくりを全体目標として、第4期地域福祉実践計画「つながり」を策定。高齢者、障がい者、子育てなど縦割りの福祉を克服するため昨年10月に多分野・多世代地域活動拠点「ここほっと」を設置しました。子育て中のお母さんや福祉事業所の利用者さん、小学生も立ち寄り、高齢者とゲームを楽しむ光景も見られます。高齢者が多いと思っていましたが、子育て世代や障がい者、子どもたちも多く、世代を超えた交流、分野を超えた福祉の交流が図られ、期待していた効果が出てきているといいます。 |
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社会福祉法人 清風会 風連さくら保育園 名寄市風連町西町284 昭和46年法人設立。平成16年、町内4ヵ所の町立季節保育所を風連さくら保育園に統合しました。地域交流が盛んで、8月の「風舞あんどん」には、園児たちが大きなあんどんを作って盛大に町を練り歩き、12月にはそろいの袢纏を着て「風連さくら太鼓」を披露します。「地域との交流を通し、地域全体で子どもを守り育てる」という保育の基本理念も地域の方々と一緒に策定しました。子育ての全てに地域の人たちが密接に関係しています。また、ほぼ毎月のバイキング給食や、園の畑で15種類の野菜を育てるなど、食育にも力を入れています。 |
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社会福祉法人 なよろ陽だまりの会 名寄市大通南2丁目2 昭和38年、陽だまりの会の前身となる「名寄手をつなぐ親の会」発足。平成19年「NPO法人名寄心と手をつなぐ育成会」を経て、平成26年に社会福祉法人格を取得しました。地域活動支援や就労継続支援、生活介護、相談支援などの事業を展開。リサイクルショップ、喫茶、食堂、カレー店、工房、農場、グループホーム(6ヵ所)など、名寄市内を中心に11事業所を運営しています。経済的自立を目指して、生活介護の利用者にも賃金を払っています。『共に働き、共に生きる』を共通の理念として、自ら社会参加をして自活しようとする障がいを持った人たちの職業と生活を支援する活動を展開しています。 |
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