小さな旅

二海郡八雲町の旅

二海郡八雲町は、その名の通り日本で唯一の太平洋と日本海の二つの海を持つまち。 北海道屈指の紅葉の名所・雲石峡。 二つの海の幸を使ったご当地グルメ。 異なる風土が生み出した歴史と文化に触れる旅。

  (1)深い渓谷に紅葉が映える雲石峡
  (2)八雲町指定文化財、梅村庭園の梅雲亭と紅葉(写真提供:八雲町商工観光労政課)
  (3)海へと続く白樺並木が美しいパノラマロード(写真提供:八雲町商工観光労政課)

八雲地区

噴火湾の絶景とご当地グルメ

  太平洋と日本海にまたがるまち「八雲町」へ行ってきた。平成17年、八雲町と熊石町の合併により、郡名も二海郡と改称されている。今回は歴史も文化も異なる二つの地区をめぐる旅だ。
  まず訪ねたのは、八雲町木彫り熊資料館だ。八雲町は、木彫り熊発祥の地なのだとか。大正10年、徳川義親公がスイスから持ち帰った木彫り熊の民芸品を農民の冬期間の副業として奨励したのが発祥の由来。その頃の北海道木彫り熊第一号や旭川をはじめとした道内各地の木彫り熊も展示されていて、各地の熊と比較してみるのも興味深い。八雲町の木彫り熊は、檻で飼育した熊をモチーフとしているため、他地域の熊に比べると、まるまるとした愛らしい姿で、鮭をくわえていないのが特徴だ。木彫り熊資料館の隣の部屋は郷土資料館になっている。
  木彫り熊資料館の裏手にある梅村庭園は、明治末期から昭和初期に造園された池泉回遊式庭園。鯉が泳ぐ池の周囲に築山や枯山水、樹木などが巧みに配された美しい日本庭園だ。特に秋の紅葉は素晴らしいのだとか。
  八雲神社は明治20年、旧尾張藩主が尾張藩から移住させた士族たちの氏神とするために建立した全国で唯一の熱田神宮の分社。本殿に続く参道はきれいに清掃され、徳川家ゆかりの立派なつくりで、八雲町の歴史が感じられる。
  白樺並木の一本道を登って行くと、噴火湾を見下ろす緩やかな丘の中腹に噴火湾パノラマパークがある。広い敷地内にはオートキャンプ場やパークゴルフ場、ユニークな遊具をそろえた広場などがあり、家族みんなで楽しめる道立公園だ。ビジターセンターのパノラマ館には、キッズアリーナや軽食コーナーなどもある。大駐車場の脇には八雲町情報交流物産館「丘の駅」が建っている。地元の乳製品、魚介類、海洋深層水を使った塩やお菓子類など、ここでしか買えないお土産品も多く取りそろえられている。
  噴火湾パノラマパークに隣接したレストラン「ハーベスター八雲」で昼食を摂る。天気がいいのでテラス席で噴火湾を眺めながらいただく。選んだメニューは八雲の飲食店が共同で開発したご当地グルメ「二海カレー」、国産ハーブ鶏のフライドチキン、石窯で焼いた本格ピッツァだ。カレーは地元産の牛乳を使ったホワイトカレーで、クリーミーな滑らかさとコクのある味わい。八雲産のホタテと熊石産のタコをトッピングした八雲町ならではの一品。ピッツァはトマトとモッツアレラチーズを熊石の海洋深層水から採れる塩とオリーブオイルで焼き上げたシンプルなもの。八雲自慢のおいしいものを味わいつくしたようで大満足の昼食だった。
  丘陵地をさらに登っていくと乳牛育成牧場がある。300ha弱の広大な町営牧場だ。牧場の頂上にある八角形の展望台からは、八雲市街や内浦湾、羊蹄山など360度の息をのむような絶景が広がる。八雲の山並みの上に駒ケ岳も頭をのぞかせている。ここは道南屈指の展望場所と言えそうだ。

木彫り熊資料館の係員が説明してくれる
木彫り熊資料館の係員が説明してくれる
噴火湾パノラマパーク「パノラマ館」外観
噴火湾パノラマパーク「パノラマ館」外観
情報交流物産館「丘の駅」
情報交流物産館「丘の駅」
広大な敷地の噴火湾パノラマパークのパノラマテラスから噴火湾を見下ろす
広大な敷地の噴火湾パノラマパークのパノラマテラスから噴火湾を見下ろす
ハーベスター八雲の外観。
ハーベスター八雲の外観。
ハーベスター八雲のテラス席でご当地グルメをいただく。
ハーベスター八雲のテラス席でご当地グルメをいただく。
ソフトクリームのおいしさに定評がある元山牧場直営店エルフィン
ソフトクリームのおいしさに定評がある元山牧場直営店エルフィン

乳牛育成牧場の八角形の展望台
乳牛育成牧場の八角形の展望台

熊石地区

あわびの里に残る数々の伝説

  八雲地区から雲石峠を越えて熊石地区へ向かう。熊石港の西側の奇妙な岩の上に小さな祠が建っている。奇岩雲石だ。アイヌと松前藩の抗争の際、追い詰められた松前藩が岩陰に身を隠すと、雷鳴とともに黒雲が沸き起こり、驚いたアイヌ軍が退散したため九死に一生を得たという伝説が残っている。
  熊石畳岩町の門昌庵にも悲劇の伝説が残る。松前藩の悪臣の讒言により名僧・柏厳禅師が斬首された際、経文を逆さに読み上げると川が逆流したという。松前藩は祟りを恐れ門昌庵に手厚く葬った。逆流した川は逆川と呼ばれ今も残っている。
  熊石漁港にある施設が熊石海洋深層水総合交流施設。海洋深層水の特徴、取水方法、活用方法が詳しくパネル展示されている。水深343mに設置された取水口から延長4400mの取水管が引かれて、一日約3500トンの海洋深層水が一度も外気に触れることなく取水される。海洋深層水はアワビの養殖施設などに供給しているほか、多目的利用として分水スタンドもあり、一般の人も購入することができる。
  熊石歴史記念館は、古くから北前船とニシン漁で栄えた熊石町の歴史を紹介している。松前藩制時代、和人地と蝦夷地の境界として設けられた熊石番所や独特の文化、生活用具などが精巧なジオラマやレプリカを駆使してわかりやすく展示されている。
  八雲と熊石の歴史や文化に触れ、一日で太平洋と日本海を往復する面白い体験ができた二海郡八雲町の旅だった。

「よくぞこんな所に祠を建てたものだ」と思う奇岩熊石
「よくぞこんな所に祠を建てたものだ」と思う奇岩熊石
川が逆流したという伝説が残る門昌庵
川が逆流したという伝説が残る門昌庵
海洋深層水総合交流施設の外観
海洋深層水総合交流施設の外観
海洋深層水総合交流施設のパネル展示
海洋深層水総合交流施設のパネル展示
海洋深層水を使ってアワビを養殖する「あわび直売所」
海洋深層水を使ってアワビを養殖する「あわび直売所」
熊石歴史記念館に再現された熊石番所
熊石歴史記念館に再現された熊石番所

 
 

二海郡八雲町の旅マップ

二海郡八雲町の旅マップ

 
 

八雲町のおもな福祉施設
厚生園外観
厚生園外観
ふれあいのつどい
ふれあいのつどい

社会福祉法人 八雲会
特別養護老人ホーム 厚生園

二海郡八雲町大新47-4
電話(0137)63-3101 FAX(0137)64-2341
小規模多機能型ホームやすらぎの里

  昭和56年法人設立。翌57年特別養護老人ホーム「厚生園」を開設。平成22年には小規模多機能型ホーム「やすらぎの里」を開設しました。施設の裏には開拓当時の樹齢百年以上の雑木林が広がっています。施設のシンボルである雑木林に遊歩道を整備して一般に開放。楢の木のドングリを目当てにリスや野鳥も訪れます。かつては夏でも涼しい林の中で、大規模な夏祭りを開催したこともありました。当時、遊びに来ていた子どもが今は職員となった子もいます。今でも家族とともに散策を楽しむ利用者さんの姿が見られるそうです。

くまいし荘外観
くまいし荘外観
根崎神社例大祭の山車が施設を訪問
根崎神社例大祭の山車が施設を訪問

社会福祉法人 熊石敬愛会
特別養護老人ホーム くまいし荘

二海郡八雲町熊石平町324-269
電話(01398)2-2020 FAX(01398)2-4050
熊石デイサービスセンター

  昭和52年法人設立。翌53年特別養護老人ホーム「くまいし荘」を開設。昨年、開設40周年を機に施設を建て替え、全室個室のユニットケアになりました。平成9年には町からの委託を受けデイサービスセンターを運営しています。「くまいし荘」ではお風呂はすべて平田内温泉あわびの湯と同じ源泉の天然温泉です。また入居者の9割が地元の高齢者ということもあり、地域とのつながりを大切にしています。地域の方の演芸訪問や、地域のお祭りでは各地区の山車や神輿が施設を訪問してくれるそうです。

ふれあいひろば
ふれあいひろば
赤い羽根共同募金のバッジ「やくもほたてちゃん」
赤い羽根共同募金のバッジ「やくもほたてちゃん」

社会福祉法人 
八雲町社会福祉協議会

二海郡八雲町栄町13-1 シルバープラザ内
電話(0137)64-2112 FAX(0137)63-2160
熊石デイサービスセンター

  任意団体として昭和26年八雲町社協、同27年熊石社協が設立され、その後、両社協とも法人化され、平成18年、両町合併により八雲町社協に統一されました。平成10年八雲デイサービスセンター開設。介護保険の対象外の方には「生きがい対応型デイサービス事業」を実施しています。また、11月から3月の冬期間は、乳酸飲料無料宅配事業で健康飲料の販売員とともに高齢者の見守り活動を実施。70歳以上を対象にした社協主催の敬老会「ふれあいひろば」は500人以上の方が参加するイベントとなっています。