| ▲ | 黄金色に黄葉する歌才ブナ林(見ごろは10月下旬)。北限のブナ林として国の天然記念物に指定されている。(写真提供:ブナセンター) |
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黒松内駅に降り立つと、緑ヶ丘ハイツの村田泰之施設長と木村宜子さん(管理栄養士)、佐藤えみさん(介護福祉士)が迎えに来てくれていた。あわただしく挨拶を交わし、村田施設長の運転する車に乗り込んで、いきなり小さな旅のスタートだ。
まず向かった先は、道の駅くろまつない(トワ・ヴェールII)。黒松内町の特産品を展示販売している情報発信基地だ。パン工房もあり、中央の大きな窓のある円形のレストルームでは、焼きたてのパンを使ったメニューがいただける。北海道じゃらん誌の「道の駅満足度ランキング」で2度もNo.1に輝いた人気の道の駅だ。この道の駅がフットパスの起点になっている。フットパスとは、イギリスで生まれた「自然の中を歩く権利」という考え方に基づいた遊歩道だ。交流施設やお店をつなぐ3コースが整備されている。自然や農村の牧歌的な風景を眺めながらスローペースで歩いてみたい。
道の駅の近くにある「とうふ処みうら」は、自家栽培の無農薬大豆を粉末にしてまるごと使い、おからを出さない豆腐「雪ぼうず」を作っている。絹ごし豆腐を試食させていただいた。大豆そのままのコクと旨味が凝縮した濃厚なおいしさだ。
和生菓子「すずや」のご主人の宮内幸基さんは、鎌倉の名店「美鈴」で14年の修業を積み、家族で黒松内町に移住。昨年6月に開店し、1年で町外にも名を知られる名店になった。『季節を感じさせる和菓子』をモットーに、地元の食材を使った手作りの和菓子にこだわっている。9月の「はぎの餅」、10月の「秋のきんつば」などの季節の生和菓子は道の駅でも販売されている。包装紙には村田施設長の俳句が使われているのだ。
牧草地に囲まれた丘に建つトワ・ヴェールは、チーズやアイスクリーム、ハム、ソーセージなどを製造・販売している。製造工程も見学でき、見晴らしのいい2階のリサーチルームでは、できたての製品や特製チーズフォンデュが味わえる。
環境雑貨屋「リトルトリー」は、エコロジーとフェアトレードをテーマにした雑貨や自然関係の書籍を扱っている。フェアトレードとは、途上国の生産者を支援し、製品を公正な価格で輸入すること。岐阜県から移住してきたというご主人の宮川哲治さんは、フットパスのボランティアでもある。
昼食は、旬の創作料理が魅力の「我つま」を村田施設長が予約してくれていた。メニューはなく、予約制で、その日に採れた食材で献立を決めるのだ。野菜はすべて自家製、山菜や茸は店のまわりの林で採れたものだとか。心なしかみんな無口になり、ポリポリと野菜を噛む小気味のいい音が響く。窓から四季折々の花が咲く庭を眺めながら、心のこもったスローフードを約1時間かけてゆっくり味わった。
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午後は、いよいよ北限のブナ林へ。ブナは漢字で「
」だが、黒松内では「
」と書いてブナと読んでいる。黒松内つくし園の廣瀬清藏理事長が考案したのだとか。ブナの木は黒松内の貴重な資源なのだ。
まずは北欧風のとんがり屋根が目印のブナセンターへ。ブナ林に関する解説や黒松内町の自然、歴史資料などを展示している。
歌才ブナ林は、市街地からわずか2km。戦中、戦後の2度の伐採危機を、学者や地元住民の熱心な運動によって守りぬいたのだという。北進するブナが黒松内に到達したのが約1000年前。ほとんど人の手が入っていない原生林で、樹齢300年、高さ30mの巨木も多い。一方、添別ブナ林は、約80年前に伐採され自然に再生した二次林で、若いブナ林だ。歌才ブナ林には往復4km、添別ブナ林には1周2kmの散策路があるので、見比べてみるのもおもしろいかもしれない。時間に余裕のない場合は、ブナセンターのすぐそばに200mの「ブナの小道」がある。今回の取材では、この小道を歩いてみた。腐葉土がフワフワで少し歩きにくいため、木村さんと佐藤さんには長靴に履き替えてもらった。ブナは「緑のダム」と呼ばれるほど保水力が高く、おいしい水を生む。黒松内の食品がおいしいのもブナ林が源なのだ。
黒松内の自然体験の拠点となるのが歌才自然の家だ。地元の食材を使ったオリジナル料理が楽しめるレストランや宿泊施設も併設されている。すぐ向かいのなだらなか丘にひろがるのが歌才森林公園。まるで広大な庭園のようにたくさんの樹木が植えられ、散策路や展望台、四阿なども整備されている。
黒松内つくし園の各施設が集まる一画のすぐそばに黒松内温泉ぶなの森がある。アルカリ性で、お肌がつるつるになる美肌の湯だ。ブナ林で森林浴を楽しみ、温泉に入浴すれば心身ともにリフレッシュすること請け合いだ。最後に温泉の向かいにある「マザーネイチャー」でティータイム。店主の丸口ゆみ子さんが「生産者の顔が見える地元の食材」にこだわって長年、家族のために作ってきた体にやさしい手作りパン・ケーキの店だ。
黒松内には、行きたいお店、魅力的な自然が多くて、残念ながら急ぎ足の旅になってしまった。「今度はプライベートでゆっくり遊びに来てください」と村田施設長。絶対にまた訪ねてみようと心に誓った黒松内の旅だった。
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| 特別養護老人ホーム 緑ヶ丘ハイツ 寿都郡黒松内町字黒松内563-1 Tel(0136)72-3330 |
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市街地と歌才ブナ林の間に位置する自然豊かな環境の中に(社福)黒松内つくし園の児童養護施設、保育所、障害児・者施設などの各施設があります。緑ヶ丘ハイツは、法人の5番目の施設として昭和50年開設。診療所を併設し、福祉と医療が密接に連携したターミナルケア、利用者の「終の棲み家」として自宅同様の看取りを実践しています。 取材中の昼食時には、ファーストフードの弊害、家庭的なスローフードの大切さが話題になりました。緑ヶ丘ハイツでは、木村宜子さんなど栄養士が中心になって、利用者の嗜好を考えた献立作りをしています。村田施設長も、利用者が生きがいを持てるサービス提供にとって、食事の重要性を強調していました。 |
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