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小さなたび

vol.133

日本でいちばん朝日に近いまち。初冬のねむろ半島の旅

             北方領土返還祈念シンボル像「四島のかけ橋」と「祈りの火」

最東端の駅を訪ね、歴史公園の巨大サイロを見る。

太平洋とオホーツク海に面し、日本でいちばん東に位置する根室市を訪ねてきた。北方海域の豊かな水産資源に恵まれ、漁業基地として発展したまちだ。東西に細長く、太平洋に突き出た根室半島の先端に納沙布岬、付け根に風蓮湖・春国岱など手つかずの自然が残されている。北方領土返還要求運動の原点の地でもある。
まずは国道44号線を根室市街に向かうと、アイヌ語で「大きな沼」を意味する温根沼が見えてくる。うっそうと茂るエゾマツの森に囲まれた、淡水と海水が混ざる汽水湖だ。さらに東に進むと、小ぶりだが廃墟のような建造物が目に入った。通称「陸揚庫」と呼ばれる根室国後間海底電信線陸揚施設だ。戦前には通信を担うケーブルが海底に敷かれていて、そのケーブルを引き揚げて電信局へ中継していたのである。この歴史遺産は国の登録有形文化財にもなっている。
「北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)」が近くにあるので行ってみた。日本(ニ)とロシア(ロ)をつなぐ北海道(ホ)の交流拠点だ。北方四島の歴史やお互いの文化に触れることができる。
展望室には双眼鏡2台が設置されており、国後島のほか知床半島も望むことができる。
日本で最も東にあるJR根室本線東根室駅は、終着の根室駅のひとつ前にある無人駅だ。待合室や屋根もない。ここを訪れた人々の多くが記念撮影をするであろう標識やモニュメントが立っている。ホームにある時刻表で調べると、上下で一日11本の列車が停まるようだ。
明治公園は駅から近く、「日本の歴史公園100選」に選ばれている。公園内の巨大なサイロは、来年発行予定の新一万円札の肖像となる渋沢栄一のゆかりの牧場が建てたもの。「近代化産業遺産」にも認定されている。屋根の丸いフォルムもかわいい。緑の季節が美しいが、白い雪に包まれたサイロも味わいがありそうだ。

多くの野鳥や植物が生息し手つかずの自然が残る風蓮湖
風蓮湖と根室湾を区切るように細長く伸びる春国岱
北方領土との通信手段としての役割を担った「陸揚庫」
北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)のロシア文化ルーム ①
北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)のロシア文化ルーム ②
全国の多くの鉄道ファンが立ち寄るJR東根室駅
写真映えする風景としても人気の明治公園

港町の新鮮な海の幸と根室発ハイカラ洋食

根室を訪れたら”魚屋さん“を見ずに帰るわけにはいかないだろう。魚の専門店「魚信」を覗いてみた。本場の花咲ガニや天然鮭はもちろん、早朝に仕入れたばかりの新鮮な旬の魚がたくさん並んでいる。話を聞いてみると、毎日来てくれる地元客をいちばん大切にしているが、ネット販売や「ふるさと納税」でも全国にお客さんがいるそうだ。
昼食はご当地グルメの名物エスカロップを食べようと決めていたので、10店ほどある観光協会おすすめの中から「喫茶どりあん」を選んだ。昭和の純喫茶のような雰囲気があり、暖炉のレンガには著名人のサインがびっしりと記されていた。10分ほどで運ばれてきたエスカロップは、細かく刻んだタケノコ入りバターライスの上に、薄めのカツをのせ、一週間以上煮込んだデミグラスソースがかけてある。コクのあるソースがカツに絡み、バターの香りもほのかに、いっそう食欲をそそられる。昭和38年頃に考案されたと言われるエスカロップは、歴史を感じる洋食レストランの味とも言えそうだ。昼どきなので客が次々とやってくるが、多くの人がこれを注文していた。

根室のエスカロップはフォークだけで食べるのが一般的
魚好きな根室市民の台所としても人気の「魚信」

日本最東端・納沙布岬と北方領土を望む公園

納沙布岬は日本でいちばん早く朝日が見えるスポットだ。毎年、初日の出を見るために集まる全国の観光客は、恒例のニュース映像になっている。岬の先端には北海道では最も古い歴史を持つ灯台がある。岬からは北方領土の歯舞群島も間近に望める。
周辺は「望郷の岬公園」として整備されている。迫力ある大きなシンボル像は「四島のかけはし」だ。世界の平和を願い、北方領土が返還されるまで、ねばり強く返還運動を続ける決意を象徴するために作られたもの。北方四島を4つのブロックで表現し、それが互いに連なり合って大きなかけ橋となり、「領土返還を祈るゲート」を表現している。モニュメントの下には灯火台があり、祈りの火」が灯されている。昭和47年に祖国復帰した沖縄の波照間島で自然発火した火を青年キャラバン隊が根室まで運んできたもので、現在も燃え続けている。この日は風が強かったため火が見えにくかったが、覗き込んでみるとしっかり炎が揺れていた。かたわらには、全国各地から送られた石が敷きつめられた「希望の道」が設けられている。
公園内や周辺には、北方領土の歴史や生活について資料展示する「北方館・望郷の家」や「根室市北方領土資料館」がある。近くには、地上96 mからの絶景が360度見渡せる「オーロラタワー」がそびえている。

戦前の北方領土の生活にスポットをあてる展示をした北方領土資料館

根室の歴史と自然を学び、奇岩と絶景を眺める。

納沙布岬を離れ、花咲港の近くにあるレンガ造りの「根室市歴史と自然の資料館」へ向かった。市内遺跡から出土した考古資料などの歴史資料のほか、根室の自然や水産業に関する展示もある。博物館相当の認可を受けているので、国境標石など興味深いものも公開されている。
花咲灯台下の断崖に露出している根室車石は、放射状節理構造の玄武岩であり、車輪を思わせる形をした奇岩だ。直径6mにも及ぶ大きさは世界的にも珍しく、国の天然記念物に指定されている。近くには、これよりも小さいサイズの車石がいくつも目についた。このあたりの岩々は、およそ6000万年前の白亜紀にできたと言われ、壮大な地球のドラマを感じさせてくれる。波に洗われた岩場は、油断すると転びそうになるので細心の注意が必要だ。
帰り道に、300種以上の野鳥が観察されている風蓮湖と春国岱を散策することにした。広大な湿原や森林が周囲に広がっている。観光バスが停まっていた駐車場から木道に入っていくと、湖面を優雅に漂うハクチョウや空を舞うオジロワシが見えた。湖畔に立つ道の駅「スワン44ねむろ」は全面ガラス張りなので、風の強い日などは、館内から眺めるのもいいかもしれない。

レトロなレンガ壁が美しい歴史と自然の資料館 ①
レトロなレンガ壁が美しい歴史と自然の資料館 ②
この車石は、花咲岬附近一帯に広く分布している放射状節理の球状岩体の中でも特大。
根室ならではの特産品が揃う売店やレストランなどが充実した道の駅「スワン44ねむろ」

ねむろ半島の旅マップ

根室市の主な福祉法人

社会福祉法人 珸瑤瑁福祉会 みさき保育園

根室市歯舞3丁目15番地
電話・FAX(0153)28-2059

昭和57年3月設立。地域住民の福祉の向上と幼児保育を目的として開設。地域との繋がりを大切にし、父母の大半が昆布業を営んでいるので海とのかかわりを通じ自然の大切さも学んでいます。全員で毎朝、マラソンとリズム運動などを行い健康な体づくりや5歳児には楽しく学べる英語指導を行っています。「ともに生き、ともにそだちあうこころの保育」を進めています。

 

社会福祉法人 しらかば保育園

根室市光洋町1丁目36番地1

電話(0153)24-7101 FAX(0153)24-7153

昭和50年4月開設。平成29年に新園舎になりました。保育目標は「丈夫な体、元気な子ども」「思いやりのあるやさしい子ども」「自分の要求をはっきり言える子ども」「創造豊かな子ども」。根室で唯一「はだし保育」を始め、しなやかな体づくりを目指し毎日ピアノに合わせ「リズムあそび」も取り入れています。保護者から信頼され、地域に愛される保育園を目指しています。

社会福祉法人 根室隣保院

根室市月岡町2丁目88番地
電話(0153)25-3300 FAX(0153)25-4556
根室隣保院附属養護老人ホーム/介護付有料老人ホーム勢和/デイサービスセンター/居宅介護支援事業所/在宅介護支援センター

昭和15年根室隣保院養老院を設立。昭和27年に社会福祉法人に認可。措置施設である養護老人ホームを中心に特定施設・訪問介護事業所を展開、低所得高齢者の最終的なセーフティネットとして地域に根差した福祉を提供できるように利用者さま一人一人と真摯に向き合っていきます。

社会福祉法人 根室明郷会

根室市厚床2丁目221番地1
電話(0153)26-2134 FAX(0153)26-2135
障がい者支援施設 根室すずらん学園/グループホーム(双葉荘・すずらん荘・ひまわり荘)/地域交流ホーム

【vol.133閲覧中】

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