職員インタビュー
vol.136
職員インタビュー(社福)雪の聖母園(理学療法士)
初の理学療法士として仕組みづくりに貢献
理学療法士は、事故や病気で著しく身体機能が低下した人に対し、リハビリテーションなどを行うことで機能回復をサポートする専門職です。活躍の場は整形外科や脳神経外科などの医療機関が主流でしたが、高齢化の進展に伴い、昨今は介護・福祉分野まで広がっています。
月形町にある『障がい者支援施設 雪の聖母園』も新たに門戸を開き、今年6月、理学療法士として5年の経験を持つ渡邊京介さんを迎え入れました。
「成果が目に見える病院の仕事はもちろんやりがいがありますが、自分は生活の中での機能訓練や地域で暮らす人の生活支援に興味があり、大学卒業後に他の社会福祉法人に就職しました。当施設への転職を決めたのは、そこでの経験を生かせると思ったからです」と渡邊さん。
来年、創立60周年を迎える雪の聖母園には、障がいのある50名の入所者さんが暮らしています。その大半が子どもの頃に入所し、現在へと至っているため、高齢期に差しかかった人も少なくありません。
「雪の聖母園にとって、私は初にして唯一の理学療法士。現在、入所者さんの身体機能の維持に向け、仕組みづくりを進めているところです。ゼロから形にしていく作業は大変ですが、自分が中心となって取り組めることにやりがいを感じています」。
意思疎通を図り信頼関係を築く
同施設のほか、町内5ヵ所に系列のグループホームがあります。そこで生活しながら就労支援センターに通所する入居者さんや、障がいのある地域住民にリハビリテーションサービスを提供するのも渡邊さんの役目。「リハビリといっても、歩行練習やストレッチ、簡単な運動など、生活の場でできることが中心です。ゆくゆくはみなさんに合った機能訓練を考え、実践していきたいと思っています」。
生活支援員として働く職員から入所者さんへのサポートに関する質問を受けることも多く、「理学療法士として、周りの期待を担っていることを実感しています」と渡邊さん。
同施設やグループホームには、高齢化が進み、生活をするうえで身体的な介助や介護が必要な入所者さんもいます。その方たちが少しでも長く、住み慣れた場所で暮らすためには、渡邊さんの専門スキルが必要不可欠。
「ただ、いきなりリハビリをしましょうと言っても簡単には受け入れてもらえません。時間がかかっても地道に対話を重ね、その方を理解することが先決です。何気ない会話から身体の状態がわかることもあり、機能訓練を提案するうえではとても大切なことだと思っています」。
コミュニケーションとは相手を知るためだけでなく、互いの距離を縮めるためにも欠かせない手段です。渡邊さんは「どんな小さなことでも、入所者さんについて気になることがあれば職員さんに伝えるようにしています」と話しており、入所者さんやそのご家族はもちろん、職員とも積極的に意思疎通を図り、信頼関係を育んでいます。
変化に富んだ仕事
力を発揮できる職場
入所者さんの機能訓練だけが渡邊さんの仕事ではありません。対人トラブルなど、若い入居者さんに多い課題を解決するために、認知行動療法を用いて、なぜそれがダメなのかを考えてもらうなど、一人ひとりに寄り添った対応を心がけています。
また、通院やソフトボール大会のつき添い、ご家族との食事会のお手伝いなど、入所者さんの生活に触れられる機会もあり、「そうした場面で入所者さんにいい変化が見られると、日々の成果を感じ取ることができます。何より他では得られない経験が当施設で働く魅力です」と、教えてくれました。
一方で渡邊さんの気がかりは、同じ職種の人がいないため、理学療法士として停滞してしまうのではないかということ。それを解消するためにも「理学療法士として働いている大学時代の友人に会い、臨床現場での仕事の話を聞いたり、同じように新しい職場で奮闘している話を聞いて刺激をもらっています」と渡邊さん。
休みの日はゲームやドライブ、温泉を楽しんだり、札幌や旭川にいる友人に会ったりと、充実した日々を過ごしているようです。



社会福祉法人 雪の聖母園
樺戸郡月形町字当別原野215番地4
電話(0126)53-2417 FAX(0126)53-3989
江別教会主任司祭であった木内藤三郎氏が知的障がい児の療育のため、カトリック信者の協力を得て、月形町に「精神薄弱児施設 雪の聖母園」を設立。認可を受けた1964年に定員50名の児童福祉施設としてスタートしました。その後、地域のカトリック教会とのつながりもあって、福祉施設の開設が求められていた夕張市に「精神薄弱児通園施設 清水沢学園」、新ひだか町に「保育所 静内ベビーホーム」を設立。雪の聖母園は入所者が成人に達したこともあり、1995年に成人の支援施設へと転換しました。
現在は月形地区、夕張地区の双方で就労支援事業、地域生活支援事業、相談支援事業を展開。夕張地区においては市から委託を受け、生活困窮者等の相談支援も担っており、各地区とも地域と連携して社会福祉事業を展開しています。2021年には、月形町より指定管理を受け、「月形町認定子ども園 花の里子ども園」の運営を開始。月形町の「就労支援センターオプス」では地元の大豆を使った「まんまる納豆」を製造しており、月1~1.5万食もの需要がある人気商品となっています。なお、今年は3年ぶりに恒例行事のお祭りを開催する予定です。
