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小さなたび

vol.131

大自然の中に日本一が3つあるまち初夏のほろかないの旅

(左)深い自然に囲まれた朱鞠内湖。神秘の湖と呼ばれ訪れる人びとを魅了している。
(右)夏には白いそばの花の季節を迎える。(写真提供:幌加内町観光協会)

旧JR深名線の駅を訪ね懐かしい旅愁に触れる

幌加内町は、旭川市の北西にあり、南北に63㎞と細長く山に囲まれている。夏号は「そば畑の面積と収穫量日本一」「日本最大の人造湖・朱鞠内湖」「日本最寒記録マイナス41.2℃の地、母子里」という、町が自慢の3つの日本一を見てみようという旅になった。
1995年に廃線となったが、かつて深川から名寄を結んでいた旧JR深名線は幌加内町を縦断していた。まずは、その駅のひとつである旧沼牛駅に向かった。ひっそりと佇む木造駅舎は、通常は非公開のためこの日も中には入れなかったが、旧ホーム側にまわってみると線路跡や信号機の名残がある。入口扉のビニールカバーに納められたノートを開いてみると、道内はもとより、道外からの訪問者の思い出や感謝の言葉が綴られていた。2016年に駅舎が修繕されたので、イベント時にはかつての駅のように人々が集うこともあるそうだ。幌加内町交流プラザには、その旧JR深名線資料館がある。さっそく行ってみると、懐かしいスライドや写真パネル、駅名板、鉄道備品、時刻表など貴重な展示品のほか、各駅の様子や自然を環状に再現したジオラマが楽しい。鉄道好きならずとも旅愁を誘われるゆかりの品々が展示されていた。
昼食にはまだ早い時間だったが、人気のそば店は開店前から並ぶらしいと聞き、「手打ちそば処霧立亭」に向かう。霧立峠の麓にある旧添牛内郵便局を改装した店だ。ちょうど店主が幟を立てて開店準備をしていたので、並ぶということもなく入店できた。それでも3組目の客だ。幌加内オリジナル品種「ほろみのり」を使用し、石臼で自家製粉した手打ちそばを提供している。店主おすすめ「冷やしそばかま天そば」を注文した。そばの実かまぼこの天ぷらと海苔、水菜などが彩りもよく、適度なコシがあるそばを美味しく引きたてており、文字どおり舌鼓をうつ美味しさだった。店内では、そばはもちろん、グッズも販売している。町には自慢のそばを食べさせてくれる店がいくつもあるので、自分の好みのそばを探してみるのも楽しいだろう。

▲旧沼牛駅外観
▲旧沼牛駅には柱時計やダルマストーブなどがそのまま残っている
▲充実した展示の旧JR深名線資料館
▲展示されているジオラマ
▲そばの実入りかまぼこを天ぷらにした霧立亭の限定メニュー

そばの花の白い風景幌加内は冬と夏に雪が降る

1970年代に米の減反政策がはじまり、幌加内では代替作物としてそばの作付けが行われるようになったそうだ。冷涼な気候、昼夜の寒暖の差、日中の気温上昇を穏やかにする朝霧などの自然条件がそば栽培に適していたことから、作付け面積が増え日本一になったのである。現在は日本一のそばの里として加工品作りにも力を入れている。
そばは9月に収穫シーズンを迎えるが、6月に播いた種は7月下旬から8月中旬にかけて可憐な花を咲かせる。幌加内のそば畑は、先にも書いたとおり日本一の面積と収穫量を誇っているので、ビューポイントや展望台からの広大な景色が一面に白く染まるのだ。まさに”白い絨毯”あるいは”夏の雪景色”とも形容される、ここでしか見ることのできない風景だ。「そばの花展望台」からは、そば畑散歩道(フットパス)がおすすめだ。雪原のように広がる白い花畑をのんびりと歩いてみてはいかがだろう。
とんがり屋根が目印となる道の駅「森と湖の里ほろかない」は、物産館に名産のそばをはじめ、お土産が豊富に揃っている。カウンターで提供しているそば蜜サンデーも大人気だ。煎って細かく砕いたそばの実のトッピングが香ばしい。敷地内のせいわ温泉「ルオント」には、北海道百名山のひとつ「百頭山」の麓に湧き出る湯を楽しめる温浴施設「熱の湯」がある。ロビーには誰でも無料で楽しめる足湯があるので、温泉に浸かる時間はなくともちょっと気分を味わうことはできそうだ。
近くを流れる雨竜川には、旧JR深名線が廃線となったあとも通称ポンコタン鉄橋が保存されている。アイヌ語でポン=小さい、コタン=集落という意味だという。2009年には土木学会選奨土木遺産にも選ばれており、雨竜川の景色に溶け込んだ緑のブリッジが美しい。

▲道の駅「森と湖の里ほろかない」の物産館では、観光客がお土産のそばを吟味
▲テイクアウトも人気のそば蜜サンデー
▲そば博物館はそば打ち道具や様々なそば猪口などが展示
▲そば博物館の隣にある幌加内北村蕎麦神社
▲せいわ温泉「ルオント」のロビーには無料の足湯も
▲雨竜川にかかる通称ポンコタン鉄橋

北欧の湖にも似た朱鞠内湖の大自然を体感

275号線を北上し、人造湖として日本一の広さを誇っている朱鞠内湖へ向かった。16年の歳月をかけて1943年に完成した雨竜第一ダムによって堰き止められたダム湖だ。湖の周囲40㎞、水深40mとなっており、面積は2373haだから東京ドーム507個分の広さらしいが、道民には札幌ドーム600個分くらいと伝えてもいいかもしれない。どちらにしても想像してみるだけでその広さを感じられる。
湖畔にある朱鞠内観光汽船が、35分かけて湖を周遊してくれるので乗船してみた。船上から眺めていると、大小13の島々が浮かぶ景観は、まるで北欧の湖にいるような気分をもたらしてくれる。幻の魚として知られる日本最大級の淡水魚イトウが棲む、神秘の湖とも呼ばれているのだとか。1974年には道立自然公園に指定されているので、周辺一帯は今もなお自然の原型をとどめていた。船内では湖やダムについての放送が流れるので耳を傾けるのもいいだろう。
なにげなく船長にこの観光船は何年前から営業しているのかと伺ったところ、なんと「60、いや70年前くらいかな。祖父が始めたと聞いている」と答えてくれた。代替わりはしていると思うが、船もこの湖を見守り続けてきたのだろう。
展望台に上ってみると、湖は大きく複雑な形をしているので全貌は見えないが、開放感があり入江や浮島が東屋からも一望できる。ちなみに湖畔にはキャンプ場がいくつもある。それほど観光地化されていないので、落ち着いてゆったり自分の時間を過ごせると、リピーターの人気にもなっているそうだ。この日は平日だったが、キャンパーがカヌーを出して大自然を満喫していた。
湖をぐるっとまわって、毋子里クリスタルパークに足を延ばした。1978年2月に記録された日本最寒気温マイナス41.2℃を記念した施設だ。特徴的なデザインのモニュメント「クリスタルピークス」が公園内にあり、凍てつく寒さの中のつららをイメージしている。管理棟には「日本最寒地到達証明書」が用意されていて、100円で発行してもらえる。モニュメントの近くには温度計も設置されていて、この日は暑くはなかったがもちろんプラスの気温を表示していた。17・1という数字を見て、この季節に日本最寒の地を訪れている後ろめたさを少しだけ感じながら、幌加内の旅を締めくくったのだった。

▲雨竜第一ダムは発電専用。湖面に映るダムと森の緑に癒される。
▲朱鞠内観光汽船は定員38名。貸しボートもある。
▲クリスタルパーク内は散策路などもあり大自然に包まれている

幌加内町の旅マップ

幌加内町の主な福祉法人

社会福祉法人 幌加内町社会福祉協議会

雨竜郡幌加内町字親和4596番地3
幌加内町保健福祉総合センター「アルク」内
電話(0165)36-2510 FAX(0165)35-3091

昭和60年(1985年)11月に法人設立し認可を受けました。幌加内町は人口1323人(令和4年5月)で、65歳以上の高齢者は人口の41%と高齢化率の高い町です。その中で社協の主な活動は、介護保険事業としての通所介護や訪問介護事業、生活支援サービスとしての移送や配食サービス、老人福祉寮とアルク内にある居住の管理運営、住民同士の福祉活動の推進や生活支援体制整備事業など幅広い事業を行っています。コロナ禍でいろいろな行事が中止されてきましたが、
4月初めに子どもたちを集めて、今年度の営業を終了した幌加内スキー場で「広い場所で楽しく滑ろう」という企画で行事を行うことができました。今後も幌加内町らしい住みよいまちづくりのために、取り組んでいきます。

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