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小さなたび

vol.127

祝 厚岸霧多布昆布森国定公園初夏のあっけし町の旅

(1)湖南地区と湖北地区を結ぶ厚岸大橋(写真提供:厚岸町)、(2)別寒辺牛湿原を横切るJR花咲線の列車、(3)馬とアヤメを海霧が幻想的に包む原生花園あやめヶ原

海とともに歩んだ歴史と北海道初の海上大橋

今年3月、厚岸道立自然公園から厚岸霧多布昆布森国定公園に昇格した厚岸町を訪ねた。厚岸といえば牡蠣が真っ先に思い浮かぶ。そのカキと厚岸観光十景を中心に厚岸町の魅力を探してみよう。
まず、厚岸の玄関口に位置するあっけし望洋台に立ち寄った。釧路~根室間の国道44号線には昭和53年までは駐車場もトイレもなかったため、ドライバーのために国道沿いの高台にカラフルな展望台とトイレを整備したのが望洋台だ。望洋台は厚岸湾、愛冠岬、厚岸市街の全景が眺望できるドライバーの休憩ポイントとなっている。
厚岸海事記念館は、全国でも珍しい海事史全般に関する大型資料館だ。捕鯨船の船先をかたどった建物は、隣接する役場庁舎と合わせると船全体の姿になる。館内は捕鯨の歴史をはじめ牡蠣養殖史など、海の恵みを受けて発展してきた漁業の変遷を伝える資料が展示されている。特に漁船の操舵室が人気を呼んでいるとか。プラネタリウムや美術展示室もあり、多目的な機能をもっている。
厚岸湖は周囲約26kmの国内では18番目に大きな湖。厚岸大橋付近で厚岸湾につながっている汽水湖だ。湖南地区と湖北地区を結ぶ長さ456.5mの赤い橋が厚岸大橋。北海道で最初の海上橋として昭和47年に開通した。この橋からカキの殻でできた牡蠣島(正式には弁天島)の小さな弁天神社が見える。海の安全と大漁を祈願する守護神として崇められ祀られてきたという。

▲厚岸湾を望む「あっけし望洋台」
▲海とともに発展してきた厚岸町の歴史を伝える海事記念館
▲丸木舟、帆掛け船、捕鯨砲など漁具の数々を展示
▲カキの殻でできた牡蠣島の弁天神社(写真提供:厚岸町)

恋人たちの聖地・愛冠岬と馬が作った自然の花園

道東随一の古刹国泰寺は、バラサン岬に抱かれるように建てられた蝦夷三官寺のひとつ。小さな山門の扉に葵の御紋が飾られている。古来より桜の名所として知られているお寺だ。バラサン岬へ向かう階段を登ると、馬頭観音堂や竜王殿、33体の観音石仏があり、歴史のまち厚岸を印象付けるたたずまいを見せている。
愛冠岬は、「愛の栄冠を勝ち取る」という意味のロマンチックな名がついた厚岸の代表的な名所。駐車場からダケカンバやエゾマツの茂る森を抜けると美しい草原に出る。断崖上の岬の突端に「愛の鐘ベルアーチ」があり、恋人たちの聖地になっている。眼下に望む海岸線は、勇壮で荒々しい景観を見せていた。
日本有数の海鳥繁殖地として有名な小島・大黒島を望むピリカウタ広場では、海霧が濃く、島の姿を見ることはできなかった。霧が濃いのも道東の名物のひとつだから、これもしかたがない。
北太平洋シーサイドライン「岬と花の霧街道」の景勝地が原生花園あやめヶ原だ。ダケカンバの森を抜け草原に出るのは、愛冠岬に似ている。広さ約100haの草原は、紫のヒオウギアヤメが最盛期を迎えようとしていた。草原に放牧された馬たちが嫌いなアヤメ以外の草を食べることによって、アヤメの大群落ができたのだとか。今でもアヤメを守るため、数頭の馬が放牧されていた。馬と花の共存関係により、牧歌的な景観をかもしだしている。
子野日公園は、昭和の初めに町長を務めた子野日弘毅氏が自費で整備した翠湖園を町が譲り受けたもの。その後、千数百本のエゾヤマザクラを捕植し、今では国泰寺をしのぐ桜の名所になっている。春の「桜・牡蠣まつり」、秋の「牡蠣まつり」は、この公園が会場となる。園内に印象的な赤い太鼓橋があり、橋の前の草原で野生のシカが草を食んでいた。

▲桜の名所として知られる蝦夷三官寺のひとつ国泰寺(写真提供:厚岸町)
▲国泰寺の背後にそびえるバラサン岬
▲「二人で鳴らすと愛が叶う」という愛冠岬の「愛の鐘ベルアーチ」
▲太平洋に浮かぶ小島と大黒島(写真提供:厚岸町)
▲様々なイベント会場となる子野日公園
▲遊歩道やバーべキューハウス、遊具なども設置されている

厚岸名産のカキを満喫タンチョウが舞う大湿原

厚岸味覚ターミナル・コンキリエは、厚岸自慢のカキを中心に、魚介市場、レストラン、炭焼き、喫茶などで厚岸の食文化を堪能できる施設。また、道の駅「厚岸グルメパーク」として情報発信、防災拠点などの役割も担っている。1階にはミニ水族館もあり、3・4階は展望室になっている。
2階のレストラン「エスカル」で昼食をいただく。あっけし牡蠣ステーキ丼は、カキフライ、生ガキが付いて牡蠣を味わいつくす豪華セット。かき弁天島丼は、ごはんに昆布を敷きつめて厚岸湖に見立て、イクラは弁天島をイメージしている。このメニューが美味しくない訳はない。厚岸の海の幸を満喫できた。
約8300haの広さを持つ別寒辺牛湿原は、ラムサール条約登録湿地として認定されてから注目されるようになった湿原。国内有数のタンチョウの営巣地として知られている。
湿原のそばにある厚岸水鳥観察館では、1階展示室の大型モニターで観察カメラがとらえた湿原のライブ映像が見られる。湿原に飛来する水鳥やタンチョウの子育てをリアルタイムで観察できるのは、貴重な体験だ。2階の展望室では、高倍率の望遠鏡で湿原を間近に観察できる。
国定公園に昇格したことで、この夏頃から、さらに観光地の整備を進めていくという。国定公園の真っただ中のまちとして、厚岸はますます魅力を増しそうだ。

▲味覚ターミナル・コンキリエの牡蠣をイメージした外観
▲味覚ターミナル・コンキリエの魚介市場
▲あっけし牡蠣ステーキ丼
▲かき弁天島丼
▲牡蠣の生簀
▲別寒辺牛湿原のそばに建つ厚岸水鳥観察館
▲湿原のライブ映像を映し出す大型モニター

あっけし町の旅マップ

【vol.127閲覧中】

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