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小さなたび

vol.124

流氷街道でたどるオホーツクの文化と歴史初秋のあばしりの旅

過去に一度、サンゴ草の規模が縮小してしまう危機に瀕したが、市民や観光協会の努力により平成27年に復活宣言をした。

能取湖サンゴ草群生地とモヨロ貝塚館、流氷硝子館

山の木々や街路樹も色づき始めた初秋の一日、ひと味ちがった紅葉狩りを体験しようと網走にやって来た。海の紅葉、能取湖のサンゴ草(正式名はアッケシソウ)だ。満潮時にはサンゴ草が水没することがあるというので、最初に能取湖を訪れた。能取湖周辺には卯原内・能取・美岬・平和の4つの地区にサンゴ草群生地があるが、一番人気は能取湖の南畔、日本最大規模の卯原内群生地。卯原内地区には木道が整備されていて、バリアフリーの木道から一面にひろがるサンゴ草に分け入って至近距離で紅葉を堪能できる。まだまだ残暑が厳しい網走だが、みごとな深紅の絨毯が能取湖に広がっていた。
海の紅葉を堪能した後は網走市街地に入って観光施設をめぐる。網走市の東側、網走川北岸の河口近くの高台にモヨロ貝塚館がある。1913年に発掘された遺跡は、後にオホーツク海周辺に栄えたオホーツク文化の遺跡ということが判明する。彼らを北方系海洋狩猟民「モヨロ人」と呼び、この地はモヨロ貝塚と命名された。今から約1300年前に網走に暮らしたモヨロ人の村の跡だ。知られざるオホーツク文化を「住居」「墓」「貝塚」のテーマに沿って展示・紹介している。墓域展示室では遺物や貝塚、頭に土器をかぶせる人骨の埋葬の様子などを発見当時の状況で復元・展示。その独特な埋葬形態や生活様式がわかって面白い。地下の貝塚復元展示室では壁面がモヨロ貝塚の断面となっており、地層の中に貝塚が何層も重なって埋まっている様子は見応えがある。隣接するモヨロ貝塚公園には竪穴式の住居跡や墓地も再現されており、こちらも必見だ。
網走川の南岸の河口近くにある流氷硝子館は、ガラス工房・販売・ガラス制作体験・カフェが併設した施設。広い店内に並べられたガラス製品が明るい店内でキラキラ輝いている。吹きガラスの原料は、廃棄された蛍光灯のリサイクルガラス「エコピリカ」で製作されている。うれしいのは、ガラス越しに店内からもカフェからもガラス製作の様子が見学できること。カフェでは流氷ガラスの器で飲食が楽しめる。吹きガラスやアクセサリー組立てなどの制作体験もできる。網走の自然の姿を美しいガラスで表現した流氷硝子館をぜひ見てほしい。

▲貝塚復元展示室で係員から説明を受ける
▲モヨロ貝塚館外観
▲モヨロ人の住居内部
▲網走川南岸の河畔に位置する流氷硝子館
▲美しいガラス製品が並ぶ明るい店内
▲店内からもカフェからもガラス工房の製作風景が見学できる

道の駅のご当地グルメと網走ならではの観光施設

流氷硝子館のすぐ近くに道の駅「流氷街道網走」がある。冬期間は流氷観光砕氷船「おーろら」の発着所となる。観光情報をはじめ地域の多様な情報発信をする「観光案内所」や地元の農水産加工品を紹介する「地元特産品販売コーナー」が充実している。2階はご当地グルメが味わえるフードコート「キネマ館」だ。ここで昼食をとる。おすすめは「網走ザンギ丼」と「網走ちゃんぽん」。網走ザンギ丼は、網走産オホーツクサーモンを魚醤とコチュジャン、胡麻油の特製ダレで漬けたピリ辛の中華風ザンギ丼。網走ちゃんぽんは、「焼きちくわの長さ日本一」で戦ったことで交流が生まれた長崎県雲仙市の名物を網走の食材で作ったご当地グルメ。雲仙小浜ちゃんぽんのスープを基本に自社製鶏がらスープを合わせ、網走の食材をふんだんに使っている。2つの新ご当地グルメを堪能した。
網走と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるのが博物館網走監獄だろう。明治時代の建築物を移築・復元した歴史博物館だ。入館受付のそばにある監獄食堂では、網走刑務所の受刑者が現在食べているメニューを提供している。監獄食は質素だが意外とおいしいとの評判だ。一番興味があるのが獄舎だ。五翼放射状舎房では独房の中に入ることができる。また、実際にあった脱獄シーンも再現されている。歴史館のメイン展示は3面スクリーンを使った「赤い囚徒の森」体感シアター。1世紀前の過酷な道路工事の様子が映し出される。館内は広くて限られた時間では紹介しきれないが、どの施設も実際に使われていたものなのでリアリティーを持って迫ってくる。
天都山山頂に上るとオホーツク流氷館がある。流氷が生まれる仕組みやオホーツク海の生態系について学ぶことができる科学館だ。地下の展示室に入ってすぐ、北海道最大級の常設プロジェクションマッピングが迎えてくれる。流氷をイメージした壁面にオオワシが飛び、アザラシが泳ぎ、クリオネが踊るアニメーションが次々に展開する映像は圧巻だ。「流氷の海の生きもの」コーナーでは、クリオネをはじめ、ナメダンゴ、フウセンウオなど剽軽な表情をした珍しい生きものを飼育展示している。「流氷幻想シアター」は、正面と上下左右に展開する大迫力5面シアターに映像が映し出される。「流氷体感テラス」では、マイナス15℃の室内で本物の流氷100トンを展示。濡れたタオルを凍らせる「しばれ体験」が人気を呼んでいる。屋上は「風を感じる展望ルーフギャラリー」。網走市街とオホーツク海、知床連山、反対側には網走湖や能取湖の絶景が眺められる。

▲道の駅「流氷街道網走」外観
▲網走の特産品をメインに土産品を充実させた特産品販売コーナー
▲道の駅2階のフードコート「キネマ館」▲ご当地グルメ「網走ちゃんぽん」
▲ご当地グルメ「網走ザンギ丼」
▲網走監獄の正門は、重厚で威厳があり、外界と閉ざされている印象を受ける
▲囚人たちの労働の一端が垣間見える監獄歴史館
▲白鳥氏という脱獄囚の脱獄シーンを再現
▲5年かけて囚人たちが煉瓦を積み上げた裏門と水門
▲小麦、大根などを収穫する自給自足の農場を再現
▲オホーツク流氷館の屋上から見る網走湖
▲オホーツク流氷館
▲本物の流氷を触れられる

資料も豊富な民族博物館 雄大な景色の感動の径

北海道立北方民族博物館は、北方地域に広く見られる円錐形のテントをイメージしたホールが印象的。東はグリーンランドから西はスカンジナビアの北方民族を対象とした、世界でも珍しい民族博物館だ。12種類のビデオによる解説やマジックビジョンなど、最新の設備と約900点の展示品は内容、ボリュームともに世界に誇れるものばかり。幅広い北方の諸民族文化を対象に、衣食住・生業・精神文化といったテーマごとに構成されている。アザラシの腸で作った衣服や白樺樹皮製の船、トーテム・ポールなど、北方民族の知恵や技術が分かる実物資料が多い。館内の照明や効果音なども雰囲気満点。ロビーでは革製ストラップやエスキモーの知恵の輪などのもの作り体験もできる。
天都山山頂のスキー場の一角に、サルビアやマリーゴールドなど色とりどりの花々が咲き誇るフラワーガーデン「はな・てんと」がある。網走市民やボランティア団体の手で整備されている市民手づくりの花園で、入場は無料だ。観光客のために無償で作業する地元の人々の心意気が感じられる。山頂ロッジは知床連山やオホーツク海、網走湖などを一望できるビューポイントとなっている。
道道683号線、道道490号線、広域農道を結んで鱒浦駅南に抜ける道は、丘陵畑作地帯を通るオホーツクらしい風景が広がっていることから感動の径と呼ばれている。数々の映画のロケ地に選ばれた絶景のドライブコースだ。ハイライトは道道490号線沿いの豊郷ビューポイントパーキング。知床の山々を解説した案内板と雄大な畑作地帯の向こうに見える知床連山を対比しながら眺める。暮れなずむ感動の径をあとに帰路に就いた。

▲円錐形の入口が印象的な北方民族博物館
▲北方民族博物館内の様子
▲北方民族の精神文化の象徴、巨大なトーテム・ポール
▲スキー場の一角にある市民手づくりの花園「はな・てんと」
▲知床連山の案内板があるビューポイントパーキング

網走市の旅マップ

網走市のおもな福祉施設

社会福祉法人 網走愛育会

網走市字潮見192
電話(0152)43-7100 FAX(0152)45-3791
いせの里保育園/いせの里児童センター/ケアハウスハーモニーヴィレッジ/介護老人保健施設いせの里/いせの里通所リハビリテーション事業所/いせの里指定居宅介護支援事業所/いせの里指定訪問介護事業所

網走愛育会は当時、網走市に公立保育園しかなかったことから昭和56年、社会福祉法人を設立し、私立潮見保育園を開設しました。初代理事長は、7期連続で市議会議員を務め、後に網走市名誉市民に選ばれた中川いせよさんです。その後、高齢者福祉へも事業を拡大し、平成9年に老人保健・福祉複合施設「いせの里」を開設。いせの里の命名は中川さんの名前に由来します。地域住民と合同の避難訓練、介護実習生、小・中学生の体験事業の受け入れなど、地域交流も盛んです。初代理事長の「笑顔あふれる施設にしよう」いう基本理念を職員一同が念頭に置いて取り組んでいます。

社会福祉法人 網走福祉協会

網走市字呼人341-4
電話(0152)48-2271 FAX(0152)48-2755
特別養護老人ホーム レインボーハイツ/地域密着型介護老人福祉施設レインボーハイツ(大曲・向陽ヶ丘・みなと)/小規模多機能型居宅介護レインボーハイツ(大曲・向陽ヶ丘)/居宅介護支援センター/デイサービスセンター(呼人)/あいむデイサービスセンター/サテライト型デイサービスセンター/ホームヘルプサービス

昭和52年、網走市内で初となる社会福祉法人を設立。翌53年にレインボーハイツ(50床)を開設しました。昭和44年に開設された網走市立養護老人ホームの経営を平成27年に委譲され、高齢者に対する在宅福祉・生活支援・施設サービス、さらに小規模多機能型居宅介護やサテライト(地域分散型)型デイサービス等を運営し、個々の課題に応じた支援やサービスを提供しています。施設建物や備品等の老朽化が課題となっていましたが、今年11月には新型ユニット施設の竣工が予定されています。

特定非営利活動法人 あばしりスポーツクラブ

網走市北4条西3丁目5-15
電話(0152)67-7939 FAX(0152)67-7991
障がい福祉サービス事業所ラポール(多機能型)

平成25年法人設立。それまで個々で活動していた三団体のサッカーチームを統合して法人化し、同時に障がい者・児への自立支援を目的に、生活介護・日中一時・放課後等デイサービス・児童発達支援の四事業を立ち上げ、その後、グループホームと就労継続支援B型事業を加え、現在の形が整いました。
サッカーだけではなく、生涯スポーツの普及、高齢者の健康支援などの社会貢献活動も展開し、網走市内の高齢者を対象に「スポーツ吹き矢」を教えたり、健康教室として病院の精神科に入院されている方への健康増進活動なども行なっています。

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