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福祉の現場から

vol.124

コロナ時代をどう生きていくか 後編(1)

前号では、そもそも新型コロナウィルス(以下コロナ)は、人の心にどのような
影響を及ぼすのか、ということについて特集しました。
今号も「コロナ時代をどう生きていくか【後編(1)】」として、
「コロナ疲れ」にならないために私たちにできること、今だからこそ
気軽に取り組める具体的なストレス解消法について、
ビヨンドザボーダー株式会社代表 安藤 亘さんにインタビューしました。

Q コロナ禍において、どのようにストレスと付き合っていけばよいのでしょうか?
A そもそもストレスマネジメントの方法は、基本的に以下の4つしかありません。

ストレスマネジメントの方法

(1)ストレスの原因そのものをなくす
(2)上手く気分転換をはかる
(3)誰かに相談する
(4)ストレスの受け止め方を変える
コロナ禍においては、(1)の「原因そのものをなくす」というのは、対象がはっきりしないので、難しいでしょう。つまり今回「コロナ疲れ」にならないために必要な方法としては、右記(2)~(4)です。
(3)「誰かに相談する」は言うまでもありません。ひとりで抱え込まず、身近で信頼できる人に相談することは、かなり解決の糸口となるでしょう。これまで自分が越えてきたやり方以外にも、誰かに相談することで課題解決に向けてのヒントが生まれてきます。
つまり、(3)「誰かに相談する」ことによって、状況は変わらなくても(4)の「ストレスの受け止め方を変える」ことが可能となります。(3)と(4)はセットと思ってください。

Q コロナ禍において、どのようにストレスと付き合っていけばよいのでしょうか?
A そもそもストレスマネジメントの方法は、基本的に以下の4つしかありません。

気分転換法:その1「Web 飲み会」のすすめ ~ただし、少し工夫が必要です

「上手く気分転換をはかる」のは、今の時期かなり難しいでしょう。そうであれば、今できることから始めるしかありません。もし友人とZoomなどの「Web飲み会」を行うのであれば、入手しやすいお薦めの「おつまみ」を指定し、参加者それぞれが事前に同じものを用意します。
人は共感することで元気が出ますので、それぞれがただ単に別々のものを飲んだり食べたりしている時は、さほど満足度を感じません。
たとえばお薦めのおつまみをお互いに3品ずつ指定し、コンビニで購入する。そうすれば、Web飲み会の際に「これ結構おいしいね~」とか「俺は苦手だな」等々、お互いに共有する話題が生まれやすいです。

気分転換法:その2「笑い」のすすめ ~笑いの驚くべき効果とは

私はメンタルヘルスに関する研修を行うことが多いのですが、研修の中でよく受講者に「仕事で人と接する際、一番大切なものは何でしょうか?」と質問することがあります。その中で、ダントツのトップが「笑顔で接する」という答えです。
確かに笑顔は他者に対して温かさや明るさを与えますし、また安心感や癒しをもたらします。だからこそ、人と接する仕事と笑顔とは、密接な関係にあるのでしょう。しかし実際、日常の生活場面で私たちはどれだけ心から笑っているでしょうか。
近年の研究で「笑う」という行為は、日頃のストレスを緩和し、心身に対して良い影響を及ぼすことがわかっています。
ストレスによって発散されるホルモンの一種である「コルチゾール」が増えると、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下などをもたらすことが明らかになっています。しかし、声を出して笑うことで酸素を大量に取り込むと、コルチゾールが減り、血圧低下、血流改善といった健康効果があることが報告されていて、意識的に「笑い」を取り入れるなど、笑うことの医療効果に関心が高まっています。
また「笑い」は免疫機能を向上し、病気の予防・改善に良い影響を与えます。「ヨガ」も本質は呼吸。新鮮な酸素を深くゆっくり身体に取り込むノウハウです。
さらに、最近の研究から、ガンの増殖を抑制する働きもあることが知られています。人間の身体にはナチュラルキラー(NK)細胞という、ガン細胞やウィルス感染細胞を攻撃する細胞がありますが、ストレスに継続的にさらされると、このNK細胞の活動は停滞し、ガン細胞やウィルス感染細胞などへの攻撃力も弱まります。
しかし、たくさん笑った後NK細胞は活性化され、ガン細胞など病原体への攻撃力が強まり、免疫力が高まります。
ストレスの多い福祉現場で働く皆さんにとっては、仕事における「笑い」だけでなく、仕事以外の場面でも意識して「笑い」を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

気分転換法:その3「ウォーキング」のすすめ ~質の高い睡眠をとるために

「メンタルヘルス不全」とは脳の疲れ、脳の機能不全です。身体の健康はすべて見える化(数値化)できます。健康診断の昨年と今年の結果を比べれば、健康が増進したか低下したか一目瞭然です。

しかし心の健康診断はありません。平成27年12月から50人以上の事業所でストレスチェックが義務化されましたが、心模様や脳の疲れを見える化するとは言い難いものです。
「身体」の疲れはすぐに出やすく自覚しやすい。つまり回復しやすいのですが、「心(脳)」の疲れはすぐには表面化しません。徐々に疲れが溜まり、脳の機能がある一定水準以下に低下すると、回復するのに相当時間がかかります。3か月以上かけて脳に疲れが蓄積していき、脳の機能がある一定の水準以下に低下してしまうと睡眠障害が現れ、結果気持ちに張りがなく意欲が低下する等、機能不全に陥ります。
脳の疲れはゆっくり進行し、ゆっくり回復します。半年以上かかることも普通です。脳はそういう特徴をもった器官なのです。
そして脳(心)の疲れをとるためには、質の高い睡眠が欠かせません。睡眠は概ね1時間半周期で「深い」「浅い」の波を繰り返しながら、明け方に向け全体的に浅い眠りに移行していきます。
つまり睡眠が一番深くなるゴールデンタイムは前半部分。遅くとも夜11時を過ぎたら穏やかにゆったりと過ごして寝る態勢に入ってください。
人は大人になると、子どもの時と比較して身体よりも頭をつかうことが多くなっていきます。夜になると、脳に血液がパンパンにつまっています。その血液が身体に降りていけないと、寝つきが悪く睡眠も深まりにくいのです。脳の血液が夜になって手足に降りていき、手足から熱を放出して脳を含めた身体全体がクールダウンします。熟睡には、夜間帯の体温の低下が欠かせません。
そのためには日中軽い運動をして体内温度(深部体温)を上げておく必要があります。日中体温を上げないと夜下がりにくいのです。ウォーキングなどによって日中1日最低2回(1回約15分)、少し汗ばむ程度のスピードでウォーキングすると、全身の血液の流れが良くなり、体内温度(深部体温)が上昇します。
睡眠さえ取れれば大抵のことは何とかなります。それくらい、人間にとって睡眠は重要です。まずは質の高い睡眠をとることを意識してください。しっかり眠って、不安でいっぱいだったり、物事を後ろ向きに考えたりしている自分に〝さよなら〟しましょう。

気分転換法:その4「マインドフルネス」のすすめ ~脳の最高の休息法

アメリカでは、最先端の脳科学の研究が進んでいます。画期的な脳の休め方「マインドフルネス」です。マインドフルネスとは、過去や未来に意識を向けず「今この瞬間」の自分の体感に注意を向け、あるがままに受け入れることです。座禅や瞑想、そして呼吸法を合わせたものをイメージしてみてください。下表で簡潔にご紹介します。
世界のエリートや大企業でも取り入れられ実践されている方法です。この方法の効果は、マインドフルネスを1日10分続けるうちに、脳の構造自体がストレスに影響されにくく変化し、免疫力が高まることです。また、いつでもどこでも時間もお金もかけずに手軽に実践できるので習慣化しやすく、実施後は昼寝をしたときのようなすっきり感が得られます。

マインドフルネス~簡単な実践例~


1.背筋を伸ばして座り、足を組んで、目を閉じます。
2.「今ここ」に集中します。
(過去の嫌な出来事や未来への不安へは意識を向けない)
3.息をゆっくり口から吐いて、鼻から吸います。(瞑想中は続けます)
4.身体感覚に意識を向けます。
(額の辺りが涼しくて心地よい、心臓がゆっくり鼓動を打っている、お腹の辺りがあたたかくて心地よい等)

今回、ストレスマネジメントの具体的な4つの方法のうち「上手く気分転換をはかる」方法についてお話しを伺いました。
次号は「誰かに相談する」ことにより「ストレスの受け止め方を変える」方法、さらに今注目されている〝レジリエンス〟(しなやかな強さ)についてインタビューした結果をお伝えします。

【vol.124閲覧中】

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