福祉の現場から

コロナ時代をどう生きていくか 後編(2)

前回では、コロナ禍におけるストレスマネジメントのうち「上手く気分転換(ストレス解消)をはかる」具体的方法について特集しました。
今回も引き続き、ストレスマネジメントでの「ストレスの受け止め方を変える」方法、さらに今注目されている「レジリエンス(しなやかな強さ)」についてビヨンドザボーダー株式会社代表の安藤亘さんにインタビューしました。

しなるけれど折れない〝しなやかな〟強さ「レジリエンス」

現場タイトルイメージ
レジリエンスイメージ

 「人に弱みは見せない」「自分の力だけで何とか乗り越えよう」とするタイプの人はストレスの影響を正面からすべて受けてしまうので、強いストレスがかかった時に〝ボキッ〟と心が折れてしまいがちです。しかし「柳に雪折れなし」といわれるように、枝をしなやかにしならせて雪を落とす。「何とかなるさ」「誰かに相談してみよう」という、そのしなやかさが、心が折れない強さになります。つまりストレスはあっても折れない心をつくる、これが「レジリエンス」です。
 レジリエンス(resilience)とは、跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味で、元々は「ストレス」と共に、物理学の分野の言葉でした。それが、「さまざまな環境・状況でも適応し、生き延びる力」として使われるようになりました。

「レジリエンス」の視点から工夫できること

 職場の人間関係のトラブルはコミュニケーション不足(相手を一面的に捉えて決め付けるところ)から始まることが多いので、日々のコミュニケーションに工夫を凝らしてみます。
 例えば朝のミーティングで、仕事以外で〝最近心に残ったこと〟を一人ずつ話してもらいます。これにより職員どうしの理解が深まり、相手を一面的に捉えた批判や非難が激減するでしょう。
 さらに、トラブルが発生した際に、上から目線で原因だけを追究しとがめるのではなく、上司も同じ目線で〝今後どうしたらよいのか〟を一緒に考えます。原因追求型(過去視点)から協働型(未来視点)に切り替えることが、社内の風通しのよさ、組織全体のレジリエンスを高めます。
 個人では、自分を見つめ直して「~しなければならない」「~すべき」「白黒はっきりさせないと」といった、自らの〝ストレスになりやすい考え方の癖〟を把握して、自分の「主観」を「客観」に切り替えることによってストレスの受け止め方を変えるようにします。

「最後に会員の皆さまへ ~メッセージとして~

イメージ~福祉の現場1~
イメージ~福祉の現場2~

 今回、人が心身ともに健康でいるために必要な「人とのつながり」が切れ、「孤立」することによって弊害が生じているために〝今だからこその日常の過ごし方〟をお話しさせていただきました。
 今の時期、じたばたしてもどうにもなりません。〝解決を急がない〟。日常を取り戻すその日まで、今自分ができることを粛々としながら心身の健康を保ちましょう。
 どんな一日も、皆さんの貴重な人生の一日。つまり〝どんな出来事にも感謝できるこころ持ち〟がその人の人生を左右します。
 福祉の現場には「知恵」と「愛」と「工夫」があります。言い換えると、それらがないとできない仕事です。皆さん、心から応援しています。

ストレスになりやすい考え方の癖 チェック表

□1.全か無か思考
 物事に対して「白か黒か」といった両極端な見方をすること。
 例)自分の仕事に不完全な部分があると「全て失敗だ」と思い込んでしまう。
※白黒仕分けできない事柄は、白と黒の箱の間に「グレー」の箱を作ってみてください。グレーの箱に投げ込んでフタをする。今考えても無駄なことは、時間を置いて寝かせた方が良いこともあります。
□2.一般化のしすぎ
 自分がたまたま接したよくない事実だけを根拠にして、全てがそうであると決めつけてしまう考え方をすること。
 例)男性に一度デートの申し込みを断られただけで「私は男性からは決して好かれない」「全ての男性は私を嫌っている」と考えてしまう。
※「その男性に断られたからといって全ての男性に嫌われている訳ではない」「たまたまその男性とは縁がなかった」と切り替えて考える癖を身につけることです。
□3.拡大解釈と過小評価
 自分の失敗や短所は大げさに捉えるのに成功や長所は過小評価してしまう考え方のこと。
 例)ほんの小さなミスをしただけで「大失敗だ、全て台無しだ」と思い込んでしまう。
□4.心のフィルター
 1つのよくない事実にだけこだわり、他のことは全て無視してしまうような考え方のこと。
 例)評価は全体的によいのに、たった1人から受けた批評だけを気にして悩んでしまう。
□5.結論の飛躍
 何の根拠もないのに悲観的な結論を導き出してしまう考え方のこと。
(1)心の読みすぎ:ある人が自分に悪く反応したと早合点する。
 例)上司(Aさん)に挨拶した際、挨拶を返してくれなかったことから「自分はAさんに嫌われている」と深読みし、かえって自分を追い詰めてしまう。
※「Aさんは次の会議のことで頭がいっぱいなんだ」「Aさんが挨拶してくれなかったといって、私が嫌われていることにはならない」と、他の可能性もいくつか考えるようにすることが大切です。
(2)先読みの誤り:事態は確実に悪くなると決めつける。
 例)良くないニュースと結びつけて「自分の病気は決して治らない」と思い込んでしまう。
※うつ病になると、このような考え方に陥ることがあります。身近な人に「その人とあなたはまったくの別人。重ねて考える必要はない」等、言い換えて協力していただきましょう。
□6.マイナス思考
 よいことだけでなく、何でもないことも悪い出来事にすり替えてしまう考え方のこと。
 例)自信のない人が、仕事がうまくいかなかった時に「やっぱり自分はだめだ」と考える。逆に仕事がうまくいくと「これはまぐれだ」と考えてしまう。
□7.すべき思考
 何かにつけ、「~すべきである、~すべきでない」、「~しなければならない、~してはいけない」とするような考え方のこと。
 例)「毎食後、食器は必ず洗わなくてはならない」と考えてしまう。
※「辛いときは、次の日に食器洗いをしても問題ない」と柔軟な見方を心がけることです。
□8.感情的決めつけ
 自分の感情を事実であるかのように思い込む考え方のこと。
 例)「不安。だから失敗するに決まっている」、「罪の意識を感じる。きっと悪いことをしたに違いない」
※感情は考え方を反映したものに過ぎず、考え方が歪んでいればその感情にも妥当性はありません。
□9.レッテル貼り
 ミスをすると「私はまったくダメな人間だ」「私は敗北者だ」等と決めつけ、自分自身にラベルリングするような考え方のこと。
 例)料理をしている最中に知り合いから電話がきた。話に夢中になってしまい、結果料理はマル焦げ。そんな時「何で私っていつもこうなんだ」「私は何をやってもダメ人間だ」と極端な形で決めつけてしまう。
□10.自己関連づけ
 よくないことがあった時、自分の責任ではないことでも自分のせいにしてしまう考え方のこと。
 例)子供の成績が落ちたことを知った母親が、「私の責任だ」「私は何てダメな母親なんだ」と考えてしまう。
※その人の行為の結果は結局その人自身の責任です。肩代わりしないようにしましょう。