福祉の現場から

地域をつなぐ新たな情報発信ツール 地域福祉とインターネット

2021年7月、北見市社会福祉協議会は、全国の地域情報を発信する情報サイト「ジモティー」と連携し、地元の福祉施設と事業所に向け、寄附物品を譲渡する取り組みを開始しました。
インターネットの活用が地域の福祉活動にどんな成果をもたらしたのか。
地域福祉課ボランティア係の室田係長にお話を伺いました。

 地域密着型の情報サイト ジモティー

 ジモティーは、「必要なものを必要な人へ」をコンセプトに、全国各地の地元情報を発信する情報サイトです。「売ります・あげます情報」をはじめ、「不動産情報」「求人情報」等のカテゴリー別に、利用者の目的に応じて分類された情報が掲載され、登録すれば無料で情報交換ができます。地域ごとに各種情報が掲載されているため、たとえば不用品が取引対象の場合、近隣に住む「譲りたい人」と「もらいたい人」のマッチングに役立っています。そのほか、地元の企業や店舗が近隣住民にサービスなどの告知を行うためのツールとしても利用されています。地域の情報インフラとして月間1000万人以上が利用するサイトへと成長し、2021年9月に発表された第4回エコプロアワードにおいて、最高位賞の一つである「環境大臣賞」を受賞しました。

URL:https://jmty.jp/

ジモティーと連携してネット掲示板を活用

パソコンで譲渡依頼をチェック
パソコンで譲渡依頼をチェック
市民から寄せられた寄付物品の数々
市民から寄せられた寄付物品の数々(ボランティア係の島倉さんと菊池さん)

 「地元の掲示板」として、全国各地の地域情報を発信するジモティーは、インターネット上で商品の販売や不用品の譲渡など、個人間取引ができる地域の情報サイトです。2021年7月、北見市社会福祉協議会(以下、北見市社協)は、市民から届いた寄附物品をジモティーのサイトに出品し、地元の福祉施設や事業所に譲渡する取り組みを開始しました。
 北見市社協では、それまで電話で行っていた寄附物品情報の提供や譲渡の申し込みが、すべてジモティーのサイト上で受付可能になり、寄附物品の受け渡しがスムーズになったことに大きな手ごたえを感じています。事実、半年以上前から保管されていた寄付品の約半数に当たる117点が、ジモティーの利用から約1ヵ月半で譲渡される運びとなりました。また、今後はジモティーを通して、ボランティアの募集や地域福祉事業の周知なども行っていきます。


手続きの効率化を実現譲渡もスムーズに

 北見市社協がこうした取り組みを始めたのは株式会社ジモティーが地域における不用品のリユースを促進するため、北見市と企業立地協定を締結し、国内初の地方拠点として市内に支社を開設したことが契機となっています。
 以前から寄附物品の効率的な譲渡方法を模索していた北見市社協にとって、ジモティーのサイトはまさにそれを実現する新しい情報発信ツール。北見市がジモティーとの間を取り持ち、「実証事業」という形でこの取り組みがスタートしました。ジモティーにとっては全国に向けたモデル事業でもあり、両者にとってその成否は今後の展開を左右する重要な要素ともなります。そこで、地域福祉課ボランティア係の室田係長に経緯とあわせて、ジモティーを利用することのメリットなどを伺いました。
 「これまで市民のみなさんから寄せられた寄附物品は、各施設・事業所に一軒一軒電話をかけ、必要か否かをお聞きしたうえで譲渡していたため、寄附物品一つを譲渡するのに多くの時間を要していました。ジモティーさんの提案をお受けしたのは、手続きの簡素化とスピードアップにつながると考えたからです」と室田さん。
 簡素化されたのは譲渡の手続きだけではありません。以前は電話だけでは説明しにくい寄附物品については、写真を貼り付けた資料を作成し、メールやファックスで送っていました。しかし、ジモティーのサイトでは写真で物品の状態を確認できるため、そうした手間が省けたことも大きなメリットです。インターネットを業務に取り入れたことに対し、室田さんは「デメリットを感じることはありません」と話しています。
 寄附物品は紙おむつやタオルなどの消耗品が人気です。しかし、写真が掲載されたことで布団やハンガーラックなど、長期間保管されていた物品についても譲渡が進んでいます。
 「インターネット上で寄附物品の確認や申し込みができ、好きなタイミングで利用できることから、各事業所さんからご好評をいただいています。便利になったことで、何度もリピートして利用してくださるところも少なくありません。そうした各事業所さんの口コミもあって、利用はさらに広がっています」。
 北見市社協も各事業所への事業説明、経過報告等をこまめに案内し、周知に努めました。

登録料無料 仕組みと物品の流れ

〈7月中旬から実証事業を開始して11月末までの4か月半の実績〉
区 分 登録数 利用者 品 名 品 数
障がい者施設
・事業所
5件 9件 衣類、下着、肌着、
タオルケット、シーツ等
132品
高齢者施設
・事業所
12件 19件 介護用おむつ、肌着、
下着、衣類等
395品
保育・
児童施設
3件 9件 布団、ハチマキ、座布団
、水着バッグ、衣類、
下着、ハンガーラック等
198品
合 計 20件 37件 725品

 実際、ジモティーはどのような形で利用されているのでしょうか。北見市社協ではジモティーのサイト上に「北見市社会福祉協議会」のアカウントをつくり、そこで寄附物品譲渡などの情報を提供します。譲渡の対象は北見市内の各施設・事業所に限定しており、サイトを利用する際にはそれぞれ登録が必要です。実証事業ということもあって、登録の方法や使い方がわからない場合は、ジモティーの担当者が直接連絡を取ってサポートしてくれるため、安心して利用することができます。なお、登録料は無料です。
 「ジモティーを使った情報発信が広く知れ渡ったこともあり、以前にも増して寄附が寄せられるようになりました。以前は寄附が増えると譲渡が追い付かず大変でしたが、今はネットを通じてすぐに譲渡できるため、保管に困ることもありません」。
 そう話す室田さんは、効率的に寄附物品を譲渡する流れができつつあること、地域内における互助の仕組みづくりにも一役買っていることを実感しています。
 「今後はボランティアの募集にも力を入れていきます。コロナ禍でボランティア活動自体が制限されていたこともあって、まだ手探りの状態ですが、ジモティーの利用者は20~40代が多いため、若い世代にも広く参加を呼びかけていきたいですね」。
 現在、北見市社協のボランティア市民活動センターに登録している個人ボランティアの平均年齢は70歳代前半。ボランティアの応募もサイト上で簡単にできることから、若い世代の参加に室田さんの期待は膨らみます。ボランティア活動を通して、彼らに地域福祉と北見市社協の活動を知ってもらうことも目的の一つです。

「見える化」により利用者側も高評価

ジモティーの地域情報サイト
 ジモティーの地域情報サイト

 ジモティーを通して寄附物品を譲り受けた事業所側はどう感じているのか、実際に利用した福祉施設の担当者から感想などを伺いました。
 「申し込んだのはおむつ、パッドなどの消耗品です。サイトに掲載されることで、今どんな物品があるのかがひと目でわかり、必要だと思ったときに受け取れる点が魅力です。何より物品が〝見える化〟されたことで非常に便利になりました。また、出品されている物品の中から必要なものだけを譲渡してくださった社協さんの柔軟な対応にも感謝しています」。
 このことばから、情報を発信する側だけでなく、受け取る側も利便性の高さを実感していることがわかります。一方、福祉施設や事業所ではインターネットを使った取り組みは進んでいるのでしょうか。
 「残念ながら、現時点では難しいと感じています。法人内で運営する食堂でお弁当の配達を行っていますが、ネット上での受付はやっていません。以前はブログを使って案内などをしていました。ただ、今は業務に追われ更新できないのが現状です」との回答が寄せられました。
 北見市社協では、寄附物品の譲渡について問い合わせがあった場合、個別にジモティーの利用を勧めています。そうした活動の積み重ねがインターネットの利用促進につながることは想像に難くありません。

地域福祉に欠かせない情報発信ツールへ

 ジモティーを利用した取り組みは、知名度の高さもあって地域にすんなりと受け入れてもらえました。地域福祉におけるインターネットの有用性が示される形ともなったこの取り組みが、北見市社協の今後にどうつながっていくのか興味は尽きません。
 「社協では、生活支援課が北見市自立支援センターの相談システムとしてLINEチャットを活用しています。今回の取り組みを通して、インターネットの利用価値の高さを改めて感じました。LINEは、自分が担当するボランティア活動の連絡手段としても活用できるのではと考えています。
 ジモティーについては、現時点では社協からの出品情報のみの掲載となっており、市民からの寄附物品は電話で承っています。今後、寄附物品についてもジモティーを通して取り扱えるようになれば、すべてインターネット上で完結し、より便利になるはずです。もちろん、さまざまな制約があるため、実現するのは難しいかもしれません。それでも、ジモティーさんにアドバイスをいただきながら、インターネットのより有効な使用法を見つけて事業に生かしていきたいと思っています」。
 一歩先を見据えながら、室田さんは最後にそう結びました。

社会福祉法人 北見市社会福祉協議会

北見市社会福祉協議会外観

北見市寿町3丁目4番1号
電話(0157)61-8181 FAX(0157)61-8183

 北見市・端野町・常呂町・留辺蘂町の合併に合わせ、平成18年3月に設立されました。そのため、北見市には本所、旧3町には支所があり、それぞれ合併前の事業を踏襲しながらも、本所と支所が連携し、北見市の地域福祉を推進しています。現在、「地域福祉事業」「生活支援事業」「在宅福祉事業」の3つを柱とし、町内会福祉活動の支援、地域住民の交流を目的としたサロン活動の支援、日常生活に不安のある人を対象とした生活支援業務、自立相談支援業務、介護サービス業務など、さまざまな活動を通して地域福祉を支えています。また、各種相談、行事用テント等の貸し出しなど、社協独自の福祉サービスとして行っている事業も好評です。